クロ赤
自主練を終えて片付けをしていると木兎さんはそうそうに月島を引っ張り片付けもしないで体育館をあとにした。いったい何を考えているんだろう。木兎さんのことだから難しいことはしないはずだし、何かをしかけるということもしないだろうに。確かに様子は朝から変だった、かもしれない。
木兎さんが月島を連れていなくなったおかげで黒尾さんと必然的に二人きりで片付けるという状態になる。あまりこの人と二人きりになることなんてない。だからこそ、何を話したらいいかわからない。まぁ、残っているのは片付けだけだから別に会話をしようとしなくてもいいのだが。
んー、と考えながら片付けをしていたら黒尾さんが俺に話しかけてきた。けどその内容はこんな状況でするような話じゃなかった。だって。俺が木兎さんを好き、だなんて。
「なー、赤葦」
「なんですか」
「赤葦ってさ、木兎のこと好きだろ?」
「え、」
なんでなんでなんでなんで。なんでわかったんだ。できる限りそんな素振りをしないようにしていたのに。どうして。どうしてわかってしまったんだろうか。
「おwやっぱり図星かw」
「ちょっとよくわからないです」
「えーwww違うの?」
「違わない、ですけど・・・あ」
この人は本当に口が達者だ。言わせたいことをうまーく誘導して言わせる。こういう人を策士だと言うのだろうか。まぁ、弧爪には一緒にいる時間が長すぎてそんなにできていないみたいだけれども。
「やっぱりーwww」
「・・・木兎さんには言わないでくださいよ」
どうしても言って欲しくなかった。好きな人を困らせたりするほど変なやつじゃないし。でもあの人が俺のことで困ったり悩んだりするっていうのはちょっと嬉しいかもしれない。
うー、やっぱりだめだ。
このあと、クロは赤葦くんに告白。でも赤葦くんは木兎さんがすきだと思い込んでいるので断る。
次の日、赤葦くんは木兎さんに告白されるもなぜか嬉しくなかった。しかもその時頭によぎったのはクロの顔。
ここで初めて自分はクロが好きだったのだと思い知る。
でも、もう遅い。
みたいなクロ赤くれださい。